あちこたねぇ
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よわこのナミビア日記 ⑥

よわこの日記 ARCHIVE   Posted on 12 01st, 2008   Yowako  

よわこの日記 044
今日も、わたしはよわこです。
ナミブ砂漠の砂丘に登っています。ずぶり、ずぶり、ひい、はあ、 なんでこんなところ登らなきゃならないの… 。 「靴に砂が入るから、イヤ。」「イヤなら脱ぎなさい。」 母がサンダル脱いでずんずんずんずん登りはじめたのでしかたなくついてきました。
ここはソーサスフライといって、高さ300mもある砂丘がいくつも並んだところです。砂の色が赤褐色 … インターネットで見た火星の写真を思い出します。
朝5時半にロッジを出発して、車で30kmくらい移動してきました。運転手はペンディさんという黒人の男の人です。ペンディさんは砂丘に登りません。登って喜んでいるのはヨーロッパから観光に来たドイツ人やイギリス人の団体客。地元の黒い人は、誰も登ってません。トーキョー人が東京タワーに登らないのと一緒かしら。一列になって砂丘を登る人々は、みんなアリのよう。わたしもその1人なんだわ。やれやれ。
裸足になって歩くと、日差しは強いけど砂はまだひんやりして、サラサラしてて気持ちよかったです。けど、だんだん高くなって、 コ、 コワイ… 。トビー・マグワイヤに似た男の人が四つんばいになっています。「ボクは怖くてこれ以上進めない!」と言ってるみたい。スパイダーマンなら怖くないだろうに。「無理しないでリタイヤしていいのよ。」ジャニス・ジョップリンそっくりの女の人がそばで慰めてました。砂丘のとんがったエッジを歩くのは平均台を歩いてるような感じです。きっと広い道なら怖くないのに。どうしよう… わたしも降りようかしら… しゃがみこんだその時、足元をまあるいフンコロガシが歩いてきました。
「何してるんだい。」「砂丘を登っているの。」「なんのために?」「わかんない。ただ、登っているの。」「ふーん… ヒマなんだ。」ヒマで悪かったなと、思ったけれど黙ってました。「どこからきたの?」「日本です。」「そりゃスゴイ!ずいぶん田舎から来たもんだ!」「 …フンコロガシさんは、何してるの?」「スカラベって呼んでくんない?フンコロガシとは失礼な!エジプトでは太陽神といわれてんだから。」「ごめんなさい。」そっちこそ失礼なと、思ったけれど謝りました。たしかに太陽神と言われるだけあって、白っぽい体がきらきら光っています。この虫は太陽の下だと白く、日陰だと黒くなるって、あとでペンディさんが教えてくれました。「スカラベさん、だからきらきらしてきれいなのね。」「ふん。エッジを登るときは、足元じゃなくてなるべく遠くを見て登るんだな。バランスとれっから。」フンコロガシはお尻をあげて、キャタピラみたいな足跡を残しながら行ってしまいました。
教えられたとおりにすると少しコワくなくなって、まもなくてっぺんに着きました。母がいて、「あら、途中で降りなかったのね。エライエライ。」 ニヤニヤ笑っています。ちぇ。娘を置いてって、なにがエライだ。
てっぺんで砂に座ってあたりを見回しました。赤い砂丘が並んでて、ところどころ白く干上がった湖が見えます。真っ黒い枯木がまばらに生えたヒゲみたい… こんなに広いのに誰も人が住んでいません。牛もいないし、畑もありません。不動産の看板もありません。渋谷のハチ公前は夜の10時ごろ、今頃まだ人がぞろぞろ歩いているんだろうな… そう思ったらまた不思議な感覚にとらわれ、頭がクラクラしました。 明日は小型飛行機に乗ります。