あちこたねぇ
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shiro
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宮原芽映
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MariPosa
2枚ワンセット
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ケータイがない!

よわこの日記 ARCHIVE   Posted on 08 18th, 2007   Yowako  

よわこ d009
今日も、わたしはよわこです。
目が覚めたら、携帯電話がありません。いくら探しても、見つかりません。部屋の中では猫のクアチが、おなかいっぱいごはんを食べて、ぐうぐう寝ています。最後にメール見たのは、いつだっけ?もしかしたら、どこかで落としたのかも。どうしよう、もうすぐエガワ先輩から連絡くるのに。お友達のうらこちゃんに、メールの返信してないのに…。わたしは急に心細くなりました。まるで世界との繋がりがいっぺんに切れて、宇宙に放り出された気分です。すると、「なくたっていいじゃない、そんなもん。」とゲコが言いました。「そんなものなくても、世界と話ができる人知ってるよ。」「誰?」「インディアンのシャーマン。彼は木と話ができる。」「き?」「木や草や、精霊たちと。彼が森に向かって何か呟くのを見ていたあるビジネスマンが、『何をしているのか?』って聞いた。するとシャーマンは答えた。『木と話をしているんだ。』シャーマンはビジネスマンの携帯電話を指さして、『おまえたちはその小さな四角い箱で世界中の人間と話ができるのに、木や草とさえ話ができないのか?』って言ったとさ。」「ふうん。」……わたしは考えました。ケータイなんてないほうが楽チンです。もう返事を打ったり待ったりしなくていいし、なくす心配だっていりません。だけど、やっぱりないのは不安です。だいいち、木や草や精霊たちと、どんなお話すればいいのでしょう?新しいDVDの話題じゃダメだろうし、困ったとき相談できません。…そのとき。突然聞き慣れたSmoke on The Waterの着メロが鳴りました。わたしのケータイだ!でも、どこに?もう1回鳴りました。…なんと。それは、クアチのお腹の中で鳴っていたのです。「…クアチ…わたしのケータイ…食べちゃったの?」クアチは背中を向けて寝たふりしています。「…クアチのばか。きっと先輩のメールだ。どうしたらいいの?」クアチはしかたなさそうに立ち上がり、父のパソコンの電源を入れ、かちゃかちゃ文字を叩き始めました。《件名:軽音楽サークル夏休みの練習 明日10時部室集合。じゃ!》《追伸 ジュディ・シルのライノ盤いいぞー。》…先輩のメールでした。それからというもの、着信音が鳴るたび、クアチはパソコンに向かって忙しそうにかちゃかちゃしてましたが、あるとき音がぴたりと止んで、かわりに母の悲鳴がトイレから聞こえました。「きゃー!見てみてーっ!クアチのうんこが歌ってるーっ、Smoke on The Water―!」…やれやれ。当分の間、ケータイは使えそうもありません。しかたないから、木や草とお話してみようかな。