あちこたねぇ
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shiro
Maxi Single
宮原芽映
Port・fo・lio
MariPosa
2枚ワンセット
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のげ

よわこの日記 ARCHIVE   Posted on 11 19th, 2007   Yowako  

よわこ D014
今日も、わたしはよわこです。
母と中川五郎さんの串焼ライブは、おかげさまで大入満員でした。母は先週からずっと咳が止まらなくて、お医者に行って薬飲んでもハチミツ大根飲んでもお酒我慢しても止まらなくて、「今日はタンバさんに代わりに歌って貰うわ、ゴホゴホ…」なんて言ってたのに、いざ始まったらとっても楽しそうに歌っているのでホッとしました。お客さんの拍手が何よりの薬なんですと。…やれやれ、心配するんじゃなかった。タンバおじさんのギター、かっこよかった…うう、よわこもがんばります。中川五郎おじさんと、ギターの伊東正美さんも素敵でした。途中で五郎おじさんのギターのピックアップマイクが外れてしまって音が出なくなり、PAをやっていた父があれれ~?って顔したけれど、五郎おじさんは慌てることもなく皆の前に出てって、肉声で歌い始めたのです。わたしだったらきっとドキドキしてしまうのに、すごいなあと思いました。へまさんのお父さんやイェンセンさんが来て下さいましたが、知らない大人の人ばかりで最初はちょっと怖かった。でも従姉のマホねえさんがいてくれて心強かったです。それにてっぽうの女将さんが「よわこちゃん、いらっしゃい」って優しく言ってくれて、大将の作った美味しいモツ煮を出してくれたら、嬉しくって急にみんな優しい人に見えた。串焼いっぱい食べて帰りました。横浜の野毛は、細い路地に古そうな飲み屋さんのネオンがぎゅうぎゅう並んで所々のら猫がいて、なんだか昔の日本にいるみたい。外は寒かったけど、あったかい夜でした。

蝉のハレルヤ ②

よわこの日記 ARCHIVE   Posted on 11 02nd, 2007   Yowako  

よわこ D013
今日も、わたしはよわこです。
夏の終わりの出来事なのに、つづきを書かないうちに11月になってしまいました。…ごめんなさい。
お彼岸の朝、おかしなメールがパソコンにきました。HTML形式で茶色いモザイク模様の縁どりがあって、こう書いてありました。「よわこ様 私は先日あなたに助けていただいた蝉です。お礼にあなたを我々のコンサートにご招待します。『ミン族の祭典・蝉のハレルヤ・コンサート』今夜7時より大倉山記念館前にて、本メールに付きご1名様に限ります。混雑が予想されますのでお早めにお出かけください。ゲロンパ。」…なんだこりゃ、スパムかと思った。蝉からメールなんて宮沢賢治みたい。ご招待ってことは関係者席かしら、アリーナだったらいいけどな…。夕方、わたしは東横線に乗って出かけていきました。大倉山は母の実家があるところです。線路沿いの坂を昇っていくと、桜の木の上でひそひそ声が聞こえました。「ホラあの子よ。蝉を助けた娘。」「なんて立派な娘でしょう!」わたしは誇らしいようで、恥ずかしかったです。本当は殺しかけたのに…わざとじゃないけど。説明したくても真っ黒い葉っぱが重なるだけで何も見えません。記念館前は人がいっぱいでした。野外の小さな丸いステージを囲むように、みんなスタンディングでコンサートの始まりを待っています。そこにはなんと、ジョン・レノン、高田渡、フレディ・マーキュリー、それにおおっ、ジュディ・シルもいました。客席でコンサートやってくれたらいいのに…。「よわこや、お前もきたのかい?」あれま、5年前亡くなったひいおばあちゃんもいます。「ひいばあちゃん、何してんの?」「決まってるだろーが。ライブ見にきただよ。」やがてステージにタキシードを着た蝉の司会者が現れました。第1部は市川蝉蔵が演じる歌舞伎『おんなころしあぶらぜみじごく』です。ステージに白塗りの蝉が出てきて、大見得を切りました。「いい男だねぇ、蝉蔵は…」ひいおばあちゃんは嬉しそう。わたしは話したいことがいっぱいあるはずなのに、あっけにとられたまま次々登場する蝉たちを眺めてました。第2部はオペラ『アブ・ラ・ボエーム』。愛するミンミンへの恋歌を、セミロッティという髭もじゃの蝉が、夜空いっぱいに響くテノールで歌いあげました。「ブラボー、ブラボー!」立ち上がって叫んだのは、いがぐり頭のフレディ・マーキュリーです。第3部は『蝉のブルース』。黒い蝉がボトルネックで、マーチンの古いギターを弾きながら歌いました。とても悲しい歌でした。「暗い土の中 出番を待っていた 暗い土の中 光を夢見てた ある日神様のお許しがでて ついに俺は外に出た だが梅雨はまだ明けてなかった それでも俺は歌ったんだ 寒さに凍えながら 声を限りに歌ったんだ 可愛いあの娘を見つけるために だけどあの娘は マンションの駐車場の下 あの娘は冷たいコンクリートの下」客席からすすり泣く声がしました。ジョン・レノンが拍手してるので、思い切って「歌わないんですか?」と聞いたら、彼は大きな鼻の上にメガネを置きなおしながら「今日は蝉たちに敬意を表す日なんだ。僕たちは黙って聴くのさ。」と、なぜか日本語で答えました。残念…。「みなさん、お待たせしました!」ドラムロールとともに照明が明るくなって、いよいよ最後の部です。「今日のトリをつとめますのは、ゲロンパこと、ご存知ジェイムズ・ア・ブラウンです!」拍手と声援に迎えられ、ジェイムズ・ブラウンそっくりのアブラゼミが出てきて、ゴスペル聖歌隊と一緒に踊りながら歌いました。客席はもうノリノリです。ところが歌の途中で、突然わたしにライトが当たったのです。とっても眩しかった。「みんな聞いてくれ。今日は私を救ってくれたよわこさんがきてくれた。彼女を讃えてみんなで『Hail Holy Yowako』を歌おう!Everybody let’s sing ゲロンパ!」な、な、なんと…あれは蝉のジェイムズ・ブラウンだったの?「聖なる女王 おおよわこ 慈しみの母よ おおよわこ 我らの苦しみの中に希望あり それこそがよわこ 幸いあれよわこに幸いあれ ハレルヤ」客席全員立ち上がっての大合唱でした。…やれやれ。わたしは死にそうなくらい恥ずかしかったです。あんまり恥ずかしくて腹が立ってきた。これってもしかしたら、殺しかけた仕返しかも。するとひいおばあちゃんが言いました。「おまえは優しい子だよ。あたしゃいつも見ているよ。自信持っていいんだよ。」…ひいおばあちゃん、ありがとう。でも、わたしはまだまだ自信を持てそうもありません。いつかは持てるのだろうか。「あたしゃ、いつも見ているよ。」ひいおばあちゃんは繰り返し言いました。フィナーレは『セミフル・ジョイフル』大晦日の第九と同じメロディです。宇宙まで届きそうなコーラスのあと、司会者が叫びました。「みなさん、ありがとう!2007年の夏よ、さようなら!これから生まれてくる子供たち、数年後地上に現れてくる若者たちに、どうか祝福を!ハレルヤ!」そのときどーんと花火が上がって、頭の上に光の玉がばらばら降ってきました。わたしはめまいがして、気がつくと草の上に坐っていました。回りはもう、ひいおばあちゃんもジョン・レノンも誰もいませんでした。人目を忍んできたカップルが、きょとんとしてこちらを見ています。あたりの草むらには、この世の仕事を終えた蝉たちがいっぱい、月の光を浴びながらきらきら転がっていました。「…よかった。みんな土に帰れるね。」帰ってパソコンを開けたら、招待メールはいつのまにか消えていました。窓の外はうろこ雲に満月、もうすっかり秋です。

プロモ・デビュー

よわこの日記 ARCHIVE   Posted on 10 14th, 2007   Yowako  

よわこ012
今日も、わたしはよわこです。
母のお友達のアベおじさんから、「プロモーション・ビデオに出ないか」と誘われました。母が「きっとギャラをたくさんくれるわよ。」と言うので、引き受けることにしました。お仕事のギャラを貰うのは、生まれて初めて!ギャラ貰ったら何買おうかな…、そうだ、ギブソンのギターがいいわ!わたしは嬉しくてドキドキしながら、富ヶ谷の撮影スタジオに行きました。アベおじさんのバンドはR・O・M・Aといいます。撮影は父が担当です。スタジオはどこを見てもブルーで背景はあとから合成されるそうです。蜘蛛カメラのTシャツを着たヒゲだらけのティムおじさんがやってきて、ロープで空中にひっぱり上げられたりして怖かったけど、なれると遊園地みたいです。どうやら映画の「スパイダーマン」と同じ方法で、「スパイダーカム」と言ってました。現場での父は、いつもと別人でした。ジャック・ニコルソンみたいに怖い顔してカメラを覗いています。そばに近寄れない感じ。父が家以外の場所で仕事している顔を見るのは初めてです。わたしも真面目にやらなくてはと思ったら、急に緊張してNGばかり出してしまいました。すっかり自信をなくして泣きそうでしたが、R・O・M・Aのおじさんやおねえさんたちが優しくしてくれたので、だんだんうまくできたみたい。無事撮影が終わってホッとしました。衣装で着せられたグリーンのレインコートがとっても好きだったので、勇気を出して「これ欲しいです。」って言ったら、着て帰ってもいいって。わーい、わーい。喜んで帰ったものの、母から「ギャラはレインコートね。」と言われてガーン。…やれやれ、世の中キビシイです。でも楽しかったからいいや。プロモーション・ビデオはYouTubeで、世界中に流れるそうです。もしかして、外国から出演依頼がくるかも?きたらどうしよう…。考えたら眠れなくて、次の日は学校を遅刻してしまいました。

プロモーション・ビデオはこちらです。

蝉のハレルヤ  ①

よわこの日記 ARCHIVE   Posted on 09 23rd, 2007   Yowako  

よわこ D011
今日も、わたしはよわこです。
夏が終わります。夏の終わりはさびしくてキライです。夏休みは終わるし、日焼けの跡はキタナイし、アスファルトの上には死んだ蝉がいっぱい転がっています。踏みつぶされると嫌だから、つまんで植込みの陰に置こうとするけれど、不意に地面を擦ってばたばた暴れるのもいて、心臓ドキドキします。きのうの午後、家の前の道路にアブラゼミがおなかを出してひっくり返っていました。死んでるかしらと思ってしゃがんで見たら、脚をもぞもぞ動かして「起こしてくれ」って言ってるみたいでした。そーっと起こしたけれど、コロンとひっくり返ってしまいます。何度やってもダメでした。うーん…悔しい。わたしはだんだん意地になってきました。玄関から出てきた母が、「かわいそうだからそっとしといてやりなさい。」と言いましたが、もう止まりません。しつこく繰り返していたら、そのうちに蝉はぴたっと動かなくなってしまいました。「うそ…、殺しちゃった…?」人差し指でつついてみても、動きません。まるで「助けてくれ」と絶叫したポーズのまま、前脚を少し伸ばして息絶えています。どうしよう…わたしってサイテーの偽善者で酷い人間かも!わたしは蝉をてのひらに載せました。蝉の羽は茶色と黒と白のモザイク模様で、カサカサに乾いています。よく見るととってもきれい。精巧なロボットみたい。蝉の茶色い顔と離れた黒い目玉をじっと見てたら、わたしはなぜか、死んだひいおばあちゃんの顔を思い出しました。「ごめんなさい…」蝉に謝ってどうすると思いながらも、誰でもいいから謝りたい気持ちでした。「お願い、生き返って…」だんだんその気になってきて、涙まで出てきました。するとそのとき、てのひらから突然パッと蝉が飛び立ったのです。手品みたいでした。そしてあっという間に、駐車場を越え学習塾のビルを越え商店街の屋根を越えて、はるかかなたへ飛んでいってしまいました。わーい、飛んだ、飛んだ。やっぱり起こしてあげてよかったんだ。…やれやれ。自分が急にいい人に思えたから、ゲンキンなものです。母に言ったら、「よかった。死んだふりしてたのね。土のあるところまで飛んでいけるといいわね。」と言いました。   (つづく)

ケヤキ・ラッパー

よわこの日記 ARCHIVE   Posted on 08 31st, 2007   Yowako  

よわこ d010
今日も、わたしはよわこです。
同級生のうらこちゃんが、木と友達になる方法を教えてくれました。「木にさわるといいよ。抱きつくと元気出るよ。体にたまった悪いエネルギーを、木が吸い取ってくれるんだって。おっきい木がいいかも。」…わたしもやってみよう。でも、家の近くに大きい木はありません。原宿で買物したついでに、表参道のケヤキ並木へ行ってみることにしました。表参道は人がいっぱいでしたが、木にさわっている人はひとりもいませんでした。…ていうか、誰も木の存在さえ見えてないみたいです。明治通りから青山通りに向かって、1本目のケヤキにさわりました。木の肌はひんやりして、ざらざらしてて硬かった。でも何だか病気みたい、所々まだらに黒ずんでて元気なさそう。「なんでさわってんの?」ふいに頭の上で声がして、びっくりして見たけど誰もいません。「くすぐったいんだよ。さっきから。」喋っていたのはケヤキの木でした。わたしは人に聞こえない小さい声で、うらこちゃんに教わったことを木に説明しました。「なら明治神宮へ行きな。この辺じゃ効き目ないよ。あーねむい。」「ねてないの?」「ここはうるさいし、夜も明るくて寝られやしないの。オマケに空気も悪い。向かいのやつは喘息で毎晩咳き込んでるよ、かわいそうに。俺なんかアレルギーだし。」「何の?」「スギ花粉症。」それからケヤキの木は、自分たちが今までどれだけ人間に尽くしてきたか、それに対してどれだけ人間がひどい仕打ちをしてきたか、ラップで歌い始めました。♪「グチリグチリグチルラー、グチリグチリグチルラー、オレたち酸素作り出す元祖、原始地球は植物のホーム・ランド、だけどある日人間たちが現れ、伐られ削られ焼かれ植えられ、燃料供給、紙・家具提供、防げ暴風・土砂崩れ、阻め疫病ペスト大流行、オレたちベストを尽くしてきたぜ、イエー、グチリグチリグチルラー、グチリグチリグチルラー、石油発見する以前、森を資源に伐採した人間、国は栄え土地は砂漠、なくなりゃ侵略、他国の森奪うために戦争、異国の神追い出すために伝導、森は焼かれ魔女は火あぶられ、神は金、経済発展・兵隊派遣、自然守れは偽善、口先だけのエコはびこるエゴ、神は去り問われる倫理、グチリグチリグチルラー、グチリグチリグチルラー、(間奏8小節) 日本じゃ後期江戸時代、お上の資材盗めば死罪、枝1本が腕1本、幹1本が首1本、それくらい貴重品だったオレたち、なのに今じゃおまえらの都合次第、土のない土地に植えられ、クリスマスに電飾ぶらさげられ、邪魔になりゃ伐り倒され、ほったらかされ枯らされ、やってらんねーYo。Yo-Yo、ねーちゃん、もっと勉強しな、Yo。」…作詞家の母が聞いたら怒りそうな、理屈っぽい歌詞でした。それにしてもよく喋る木だわ。「そんなに喋れるのに、なぜ黙ってるの?」「そんなヤバイこと!滅多やたら喋ったら研究材料にされるか、うるさがられ伐られるのがオチよ。それにもしも犯罪目撃したらどうなる?こっちは逃げられないのよ。口封じに何されるか。」「あのう…」わたしはドキドキしながら聞いてみました。「抱きついてもいいですか?」「バカ言うな。俺にも選ぶ権利があるだろーが。」……断られてしまった。「じゃあ帰ります。」と言うと、「またな。」と木が言いました。「ありがとよ。久々にグチったお陰で、スッキリ元気が出たぜ。Ya また遊びに来いよな!」…やれやれ。こっちはグチられたおかげで、すっかりくたびれてしまいました。でもお友達になれたみたいだから、まあいーか。不思議なことに、道を歩く人たちは誰もケヤキの声が聞こえなかったみたいです。

ケータイがない!

よわこの日記 ARCHIVE   Posted on 08 18th, 2007   Yowako  

よわこ d009
今日も、わたしはよわこです。
目が覚めたら、携帯電話がありません。いくら探しても、見つかりません。部屋の中では猫のクアチが、おなかいっぱいごはんを食べて、ぐうぐう寝ています。最後にメール見たのは、いつだっけ?もしかしたら、どこかで落としたのかも。どうしよう、もうすぐエガワ先輩から連絡くるのに。お友達のうらこちゃんに、メールの返信してないのに…。わたしは急に心細くなりました。まるで世界との繋がりがいっぺんに切れて、宇宙に放り出された気分です。すると、「なくたっていいじゃない、そんなもん。」とゲコが言いました。「そんなものなくても、世界と話ができる人知ってるよ。」「誰?」「インディアンのシャーマン。彼は木と話ができる。」「き?」「木や草や、精霊たちと。彼が森に向かって何か呟くのを見ていたあるビジネスマンが、『何をしているのか?』って聞いた。するとシャーマンは答えた。『木と話をしているんだ。』シャーマンはビジネスマンの携帯電話を指さして、『おまえたちはその小さな四角い箱で世界中の人間と話ができるのに、木や草とさえ話ができないのか?』って言ったとさ。」「ふうん。」……わたしは考えました。ケータイなんてないほうが楽チンです。もう返事を打ったり待ったりしなくていいし、なくす心配だっていりません。だけど、やっぱりないのは不安です。だいいち、木や草や精霊たちと、どんなお話すればいいのでしょう?新しいDVDの話題じゃダメだろうし、困ったとき相談できません。…そのとき。突然聞き慣れたSmoke on The Waterの着メロが鳴りました。わたしのケータイだ!でも、どこに?もう1回鳴りました。…なんと。それは、クアチのお腹の中で鳴っていたのです。「…クアチ…わたしのケータイ…食べちゃったの?」クアチは背中を向けて寝たふりしています。「…クアチのばか。きっと先輩のメールだ。どうしたらいいの?」クアチはしかたなさそうに立ち上がり、父のパソコンの電源を入れ、かちゃかちゃ文字を叩き始めました。《件名:軽音楽サークル夏休みの練習 明日10時部室集合。じゃ!》《追伸 ジュディ・シルのライノ盤いいぞー。》…先輩のメールでした。それからというもの、着信音が鳴るたび、クアチはパソコンに向かって忙しそうにかちゃかちゃしてましたが、あるとき音がぴたりと止んで、かわりに母の悲鳴がトイレから聞こえました。「きゃー!見てみてーっ!クアチのうんこが歌ってるーっ、Smoke on The Water―!」…やれやれ。当分の間、ケータイは使えそうもありません。しかたないから、木や草とお話してみようかな。

よわこ、ライブに行く Vol.2

よわこの日記 ARCHIVE   Posted on 08 05th, 2007   Yowako  

よわこ d008
今日も、わたしはよわこでした。
「ライブ行かない?」母が誘うので、喜んで「いく」と答えました。前回は2階席でしたが、今回はアリーナ席。今日こそわたしもノッてみるつもりでした。「じゃあ4時に、水天宮ね。」「すいてんぐう…?」行ってみると、そこは明治座というところで、第一部「水戸黄門」、第二部「里見浩太朗オンステージ」とありました。…やれやれ。母はひとりで来るのが嫌で、ライブなんて言ったにちがいない。席は1階でしたが、まわりはおじいさんおばあさんばかり。お弁当やお菓子を食べて楽しそう…。第一部は、四国の殿様(=水戸黄門の息子)が悪い人の陰謀で失脚しそうなのを、みんなで力を合わせて助けに行くお話でした。母は、「由美かおるは、ちっとも変わらないお化けだ」とか「舞台装置にお金かけてる」とか「テレビとそっくりなのにCMがないのが変だ」とか、失礼なことばかり言うのでハラハラしました。悪人たちと闘う助さん格さんが、「控え、ひかえー。この紋所が目に入らぬかー」と印籠を出すと、客席は拍手かっさい。あれがあれば、わたしだって強くなれるだろうに。最後に助けてあげた息子を、黄門様が「コラ!」とゲンコツで叱り、「親というものはいくつになっても子が心配なのじゃ。」と言うと、おばあさんたちはいっせいに涙を拭きました。隣を見ると、母も泣いてるではありませんか…。第二部は日本舞踊と歌のショー。白いスーツを着た里見浩太朗さんは、黄門様と全然別の人、かっこいいおじさんでした。中島卓偉さんのときはギターのピックを投げましたが、里見さんは客席に丸めた手拭いを投げました。おばさんたちが飛び上がって取り合って、凄かったです。帰りの半蔵門線で母が言いました。「一寸の虫にも五分の魂っていうけれど、どんなライブにも必ず面白いところがあるのね。」「おかあさん、そのたとえは変だと思う。」「あら、そう?」わたしは考えました。人は何故、嘘のようなお話でも感動できてしまうのか?わたしもいつか、たくさんの人を感動させてみたいです。渋谷で降りて、福田屋でお蕎麦を食べて帰りました。ハチ公前交差点は、今日も人がいっぱい。…ビルと並んだ月が、舞台装置に見えました。

足もと見なさい星人

よわこの日記 ARCHIVE   Posted on 07 28th, 2007   Yowako  

よわこ d007
今日も、わたしはよわこです。
なにか新しいことをしようとすると、「わたしなんかダメ」と、思ってしまうのは何故なんでしょう。マラカスを始めたのはいいけれど、ちっともリズムが合いません。DEEP PURPLEのCDに合わせて、わたしがしゃかしゃか振りはじめると、DEEP PURPLEの演奏が速くなります。集中しはじめるとだんだん遅くなっていきます。まったく意地悪なイギリスのおじさんたち!何度やっても同じです。やれやれ、やっぱりわたしは、ダメな子みたい…。そのとき、ヤモリのゲコが叫びました。「足もと見なさい星人がやってきた!」   * ”足もと見なさい星人”は人間の耳に寄生する宇宙人で、遠くに向かって進もうとすると、決まって「足もと見なさい」と耳打ちするのだそうです。町を歩いていて、目の前や足もとばかり見ている人がいたら、彼らの耳をよく見てみてください。きっと、小さなタコのような生き物がはりついているはずです。*   ゲコが聞きました。「ほんとうにダメ?」「…うん。」「ほんとうに、ほんとうに、ほんと~~~にダメ?」そこまで聞かれると、自信ありません。だって、心のどこかでほんのちょっぴりだけ、「わたしだって、できるかも」という気持ちがあるからです。するとゲコが言いました。「自分がダメなんじゃなくて、ダメな自分を見たくないだけでしょ。」…そうか。言われてみると、わたしもいつも下ばかり見ていることに気がつきました。あわてて頭を振りました。ぷるぷるっ。タコは飛んでっただろうか?…今度は宇宙に向かって、マラカス振ってみます。